こんにちは、Dancing Shigekoです!

一文字も読まれていない問題に、なぜ正解できたのか。

今回は小説『君のクイズ』を紹介します!

※この記事では物語の内容に触れています。

基本情報

  • 著者:小川哲
  • 出版社:朝日新聞出版
  • 出版年:2022年
  • ページ数:189ページ

登場人物

三島玲央
数々のクイズ大会で優勝した経験を持つクイズプレーヤー。本作の主人公。

本庄絆
クイズを得意分野として活動するテレビタレント。広辞苑をすべて記憶していると言われている。

作品の内容

第1回Q-1グランプリ決勝。三島玲央は、初代チャンピオンまであと一問に迫っていた。しかし対戦相手の本庄絆が追いつき、勝負は6対6で最終問題を迎える。

問題文が一文字も読まれていない段階で、本庄は早押しボタンを押し、正解して優勝する。なぜ問題を聞かずに答えられたのか。ヤラセではないかと騒がれる中、本庄は沈黙を続ける。三島は真相を知るため、本庄が過去に出演したクイズ番組を調べ始めるのだった。

・ゼロ文字押しを分析する思考

三島は、本庄の解答が事前に答えを知っていたものなのかを確かめるため、過去の映像を一つずつ見直す。どの時点でボタンを押したか、その時までに読まれた言葉から、どんな問題を予測できたかを検証していく。

問題文が数文字読まれただけでも、出題形式、話題、よく使われる表現から候補を絞る。答えそのものを知っているだけではなく、「この始まりなら、次に何が続く可能性が高いか」を考えている。その思考過程が興味深かった。

ゼロ文字押しは極端だが、問題以外の情報も回答の手がかりになるということなのだと思う。会場の状況や、それまでの出題、対戦相手の動きまで含めて勝負していることが伝わってきた。

・知識だけではないクイズの技術

作品には実際のクイズ問題がいくつも登場し、回答者が答えへたどり着くまでの考え方が描かれる。読んでいると自分も問題へ挑戦したくなり、もっと知識を増やしたいという気持ちになる。

一方で、知識を持っているだけではクイズに勝てないことも分かる。どこまで問題を聞けば答えを確定できるか、誤答の危険と早押しの速さをどう釣り合わせるか。覚えた知識を瞬時に取り出すための練習が必要になる。

クイズは記憶量を競うだけではなく、予測と判断の競技でもある。問題を作る側の癖や、定番の聞き方を学ぶことも、実力の一部になるのだと感じた。

・生放送を成立させる準備

生放送のクイズ番組には、沈黙が続く、誤答ばかりになる、早押しなのに誰も押さないといった危険がある。番組を成立させるため、制作側は挑戦者の戦歴や得意分野を調べ、答えられる可能性を考えて問題を準備するという。

以前、アタック25の予選へ参加した時、筆記試験の後に詳しいプロフィールを書くよう求められた。本戦へ進んだ場合の情報として使うとのことだったが、本書を読んで、あの情報も番組を作るための準備だったのだと改めて感じた。

出題者が問題を読み、回答者が答えるだけに見えるクイズ番組。その裏には、知識、技術、予測、番組制作の準備が重なっている。日々学びながら、自分もクイズへ挑戦してみたくなる一冊でした!

それでは、また次回!